軽井沢の建築設計事務所|一級建築士事務所アトリエカムイ|建築家 / 井野 勇志|新住協Q1.0住宅|高断熱|別荘

BLOGブログ

夏と湿度対策 -建築家の日常-

Posted on 2025-08-14

軽井沢と聞くと「涼しく、苔のある避暑地」というイメージがあるかもしれません。近年は日本の気温上昇の影響を受け、軽井沢も日中30℃以上になる日も増えました。さらに厄介なのは湿度。朝晩の気温が下がる時間帯でも湿度は高く、室内では不快な湿度環境が発生します。これは空調設計にとって難しい条件となります。

 

 

【軽井沢の湿度と気温環境】

イメージに反して、近年の軽井沢は高温・高湿度が同時に生じる場面が増えています。特に夏季は外気の絶対湿度が20 g/㎥以上に達することも多く、住宅の空調計画に大きな負荷がかかります。

 

 

【湿度の基礎知識(相対湿度と絶対湿度)】

相対湿度 % 空気がどれだけ水蒸気で満たされているかを示す。温度に依存して変化する。
絶対湿度 g/㎥ 空気中に含まれる水蒸気の質量そのもの。温度の影響を受けにくい。

 

快適な室内環境は一般に絶対湿度13 g/㎥前後が目安です。軽井沢の夏季外気は20 g/㎥近くになることも多いため、今回はできる限り理想に近づけることを目標として実験をすることとしました。

 

【エアコンと暖房器具による絶対湿度低減の実証】

エアコンと暖房器具を併用して絶対湿度を下げる実験を行いました。

  • 実証前:絶対湿度 約14.8 g/㎥
  • 実証後:絶対湿度 12.6 g/㎥(外気:18.0 g/㎥)

この結果、体感的にもカラッとした空気感が得られ、快適性が向上しました。しかし忘れてはいけないのは、エアコンの能力選定です。家の性能に適していないエアコンは除湿運転をする前に止まり、ある程度のところで絶対湿度も下げ止まります。大は小を兼ねません…難しいですね。まだまだ学びは必要です。

 

【実証で得られた学びと今後の展望】

今回の実証は、今年から学び始めた「ミライの住宅」空調講座で得た知識をもとに実施しました。実際の数値変化を確認することで理解が深まり、理論と体感が結びつきました。空調設計はその地域の条件により、最適な対策が異なります。他の地域で成功した方法が軽井沢で同じように機能するとは限りませんし、その逆も然りです。さらにいえば、住まい手さんの生活スタイル、住まい手さんの人数、家電の種類と量、太陽光なども影響しますので、一筋縄ではいきません。今後も復習と検証を繰り返し、軽井沢の厳しい環境でも快適な住まいづくりができる設計手法を探求していきたいと思います。

その場所が持つポテンシャルを最大限に活かして、風景の中で建築が美しく存在し、
時を超えても愛されるあり方でありながら、室内は、日々の暮らしの中で
自然の美しさや豊かさや快適さを感じることができることを理想としています。
そのため建築で使う材料は、時が経て味わいが増し、人の心を豊かにするような、
木や紙、土などの自然のものを使うこととしています。
また、この素材の魅力を最大限活かす職人の技術も大切にしています。
「アトリエ カムイ」とは、その場所が持つポテンシャルと建築をつくる素材や技術に
正面から向き合い、デザインしていくという意味を込めています。

PAGE TOP